試し斬りについて

                       

 戸山流居合道に入門し三年ほど過ぎた頃 山口勇喜流祖より試し斬りについて直接ご指導いただいたことがあり そのことは四十年経過した今でも忘れることはなく鮮明に想い出すことができます

 場所は関市春日神社の境内 関支部美濃羽会長のはからいで刃物まつりに来訪された流祖に演武を観ていただくため豊橋支部山下剛昭会長に同行した時のことである

 拝殿前の広場の隅で青竹の試し斬りをしていると 流祖が近くに来られ「待て よいか斬った後は刀を止めること」と手振り身振りで直接ご指導を頂戴しました そのお顔は実に柔和でニコニコと優しいものでした

 当時の若い盛りの小生の試し斬りは 力まかせに一刀目 二刀目と連続で斬り 短くなるか倒れるか斬れなくなるまで続ける 誠に野暮ったいものであったと反省しております

 しかしながら試し斬りというのは誠に刺激的 魅力的で その後も燕返しを得意技とするなど 相変わらず反省を繰り返すことに  

 流祖の書である 養心「戸山流居合道」 会誌「無限戸山」において 試し斬りは居合道修道の過程において有効であり その必要性を伝えている その緊張感から得た効果は貴重であり精神面への影響は実に大きい また技術面については 正しい刀法であるか確認することが大切であり 稽古に活かすことで上達していくものである 

 試し斬りは 刀の切れ味を試す機会でもあるが 居合道修道としては日本刀の尊厳を守り 正しい刀法 正しい姿勢にておこなうことが大切である

 既に練達し刀が斬れることを知る高段者は 試し斬りの必要はなく斬ることを慎むことで己を律する精神を養うべきである

 試し斬りについては ネット動画などで多く紹介されており参考になりますが 会員の皆様には戸山流居合道流祖の教えを守り稽古に励んでいただきたくお願いします

 小生もおおいに反省し 流祖直伝者としての自覚を持ち 教え伝えることの責任を感じあえて記すこととする 

 

 今年度より試し斬り稽古「心雲斬試会」を実施したいと思います 会員の皆様には 積極的にご参加ください

 

令和八年卯月

                        戸山流居合道東海道場

                           代表 川原義之

 

会員の皆様